Sall we Dance? に見る日米比較
米国版「Sall we Dance?」を観た。いや~、リチャード・ギア、カッコいいねえ。私にもバラの花を一本持って、ダンスに誘って欲しいわ~~!!
・・・と、ロマンス映画としても十分楽しめる映画である。が、私は日本オリジナル版も観ているので、ここは一つ、別の切り口で考えてみたいと思う。「Sall we Dance?」の日本バージョンと米国バージョンには、日米の意識の違いがよ~く現れている。
二つを見比べて、一番驚いたのは、日米の「女性観」の違いである。
米国バージョンは、女性の登場人物のすべてが「女」として描かれていた。いや、当たり前なんだけど。その当たり前のことに、米国バージョンを観るまで気づかなかった。ここで言う「女」とは、「女の色気」の「女」のことね。アメリカって、結局、色気がないと「女」として認めないのかもな。ヒロイン役のジェニファー・ロペスも色気たっぷりの「女」だったし、渡辺えり子役の人も色気過剰の「女」だったし、担当のおばちゃん先生ですら、色気を内に秘めた「女」だった。
それに比べて、日本バージョンの女性登場人物って、みんな「女」じゃないんだよね。ヒロイン役の草刈民代は「女」というよりは「妖精」だ。妖精なんだから、役所広司がクラッときてもなんとなく許されるような気がする。だから、米国バージョンのように、最後は奥さんに花を持たせる、なんていう気遣いはまったくない。役所広司は最後の舞台に奥さんを連れて行ったりなどせず、草刈民代とイチャイチャとダンスを楽しむ、というフィナーレなのだ。「女」に対する浮気は罪深いけど、草刈民代は「妖精」なんだから別にいいだろ、というわけか(笑)
渡辺えり子は、「肝っ玉お母ちゃん」として描かれており、全然似合わない色気むんむんのコスプレが思いっきりはずしてて、面白かったのであるが。米国バージョンの場合、すげえ似合ってましたから。ヒョウ柄のパンツスタイルとか、むちゃくちゃカッコよかったもん。十分「女」で通るキャラクターである。
担当のおばちゃん先生は、日本バージョンの場合、「永遠の少女」として描かれていた。いっぱいいるよね。お金持ちの専業主婦なんかに。おばちゃんなんだけど、たおやかで少女っぽい人。世間知らずという意味ではなく、本当に、永遠に少女な人。ところが、米国バージョンでは、なんと、そのおばちゃんはアル中として描かれていた・・・・!!アメリカには、「永遠の少女」というキャラクターは存在しないらしい。アメリカの女性が「永遠の少女」を演じるためには、酒をのまないとやっていられない、ということなのだろうか。
こうして比べてみると、アメリカもかなりの「男社会」なんじゃないのかなあ・・・なんて思ってしまう。確かに、米国バージョンの場合、奥さん役のスーザンサランドンが「働く主婦」だったり、最後に花を持たせられていたりはするけどね・・・それだけで「男女平等」といえるのかどうかは、はなはだ疑問だ。
だって、上で言うところの「女」とは、「女の色気」の「女」なのだ。「色気」とは「男」から見た評価である。つまり、「女」=「男」の意識の中での女、ということになる。極論すると、米国バージョンは、登場人物のすべてが「男」の中の範疇で描かれているとも言える。
日本バージョンの場合、奥さんが専業主婦で、存在感は薄い。でも、全体を通して、日本バージョンに描かれている女性像は、「女」ではない。女性を、「男じゃない人、なんかよくわかんない人」っていう位置づけで描いているように感じる。「わからない」って認めているぶんだけ、日本の男は、謙虚に女性を捕らえているとも言える。
それに、何よりもヒロイン役の草刈民代は、ダンサーとしての「プロ意識」がちゃんと描かれていた。どうして、世界的なダンサーが場末のダンス教室にいるのか、その過去もちゃんと描かれていた。役所広司に宛てた手紙には、「相手を信頼して踊る大切さ」などという、プロならではの台詞が描かれていた。「妖精」でいつづけるためには、やはり職人気質のプロでなくてはならない、ということである。この描き方は、いかにも日本的だ。米国バージョンのジェニファー・ロペスには、このプロ意識があまり感じられなかった。
はてさて、日米バージョンの、どちらが男尊女卑といえるのだろうか。ま、どっちにせよ、両者とも、うまく男女を描き分けているなあ・・・とうなるところではあるのだが。
まあ、こういう違いを楽しむのも映画の楽しみ方の一つ。
今後、日本のコンテンツがどんどんアメリカに渡っていくので、こういう楽しみ方が出来る映画はたくさん出てくるだろう。
そういえば、「ルパン三世」がハリウッドで実写版でリメイクされるって噂があったが・・・。峰不二子が、アメリカではどう描かれるのだろうか?もし、実現したとしたら、それが一番楽しみだ。
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